ありがとうと母に言える日

今まで母親に

本気で「ありがとう」と言ったことがあるだろうか。

 

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私が通った中学校はお弁当持参だった。

でも、私の家は母子家庭で母は昼から夜遅くまで働いていたので

お弁当は祖母が作っていた。

 

祖母は几帳面で掃除は大好きなのだが、料理と言えば煮物や魚料理で

お弁当を作るのは大の苦手で、よく愚痴を言いながら作っていたもんだ。

そんな祖母が作るお弁当は大抵、昨晩の残り物の煮物と卵焼きと赤いウインナーで

ちょっと背伸びしてマルシンのハンバーグだ。

 

おでんの次の日はおかずを入れるタッパにおでんだけがギッシリだ。

お年頃の中学生としては人に見られるのがはずかしかったから

母親に「お母さんが作ってよ!」と抗議すると

たまには作ってくれることもあったが「起きられない」と言って

結局は祖母任せだった。

 

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ちなみに高校生からは色とりどりのお弁当を自分で作るようになった。

 

その時代、コンビニなんてのも無いから

そうやって、みんな手作りお弁当を持参する中

同じクラスの男の子で毎日菓子パンを持ってくる子がいた。

ほとんど毎日、袋に入って売っている菓子パンや総菜パンだ。

 

今みたいにコンビニもないから、生活用品がひととおり売っているような

個人商店で登校時に買ってきてるようだった。

総菜パンと言っても「ハムカツパン」と「焼きそばパン」「コロッケパン」

あとは甘い系のクリームパンやジャムパンやあんぱんだ。

 

席が近かったので毎日その様子を見てた。

無知な私は、最初のころ「よっぽどパンが好きなんだな」そう思っていた。

でも誰も

なぜいつもパンなのか理由を聞く人はいなかった。

 

その男の子は明るい子だったがどこか影があるような感じで

触れてはいけない部分なのだろうと尋ねもしないし、からかう子もいなかった。

 

後に父子家庭と誰かに聞いた。

 

その子は毎日どんな思いでそのパンを食べていたのだろう。

どんな思いで毎日買っていたのだろう。

 

祖母の作った煮物を恥ずかしいと思っていた私は浅はかだと気が付いた。

 

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それでも母子家庭になってから、母が外で働くようになって

毎日夜中の帰宅で、休みも平日の1日だけという生活だったから

あまり顔もあわせられず、まだ幼稚な私は母の愛に飢えていた。

 

その後、母は小さな小料理屋のお店を持つまでになった。

そうやって

女手ひとつで3人の子供を育ててくれたから今の自分がある。

 

家事は祖母に任せっきりだったから

核家族の母子家庭よりは楽だったかもしれないが

一癖も二癖もある祖母だったから子供の方は大変だった。

その話はまた別の機会にするとして

 

せっせと働き、子供を育てた母はよくこう言う。

「私の幸せは子供が幸せであること。それ以上のものは何もない。」

 

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結婚を機に家を出た私は、面と向かって「ありがとう」と

心の底から言ったことはない。たぶん。

 

誕生日のメッセージカードやメールなどでは「ありがとう」と伝えることはあっても

直接は言った記憶はない。

 

親に対して、文句は平気で言えるのに

なぜ素直に感謝の気持ちが伝えられないのだろう。

 

私が離婚したときに母は元夫に

「何十年も息子みたいに思ってたから、簡単にはさようならできないから

これからも息子だと思ってるね。だから私の葬式には絶対来てよね。」

と言った。

それからもずっと元夫は母の誕生日プレゼント、お中元やお歳暮の贈り物

クリスマスプレゼントまでしている。

 

 

その後、私がうつ病になって母はものすごく心配した。

抗がん剤を飲みながら頑張ってる母に心配をかけて申し訳なくて

私はメールで

「こんな歳になってこんな風に心配ばかりかけてごめんね。」と送った。

 

すると

「いいんだよ。あなたは小さいころからずっといい子だったから

何も心配せずに育っちゃった。

今になって母親やらせてもらってる感じがしてるよ。」

という返事を見て、声をあげて泣いた。

 

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今、母は毎日普通に暮らせているが

抗がん剤で進行を遅らせているだけで、いつひどくなるとも限らない。

 

母が亡くなるまでに私は幸せにならなくてはいけない。

そしてちゃんと「ありがとう」を言おう。

 

母の幸せは子供が幸せであることなのだから。

 

 

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